2012年受賞作品

受賞作品|審査員講評|3次審査風景

審査員講評

関東・関西審査委員長 伊久 哲夫 (積水ハウス株式会社 取締役 専務執行役員)

5月のプレ審査応募に始まり3次審査まで、半年間にも及ぶ本コンペの最大の特徴は、そのプロセスにあります。「住空間ecoデザイン」というテーマ性はもちろん、独創性・実現性に応えるために、その過程において如何に学び成長したかが大きな評価ポイントです。学生諸君に求めたいことは、リアルサイズで考えるコンペの過程で「WEB情報ではなく実現場を知ること」「テーマに対して真剣に向き合うこと」「多くの人と係わること」そして「モノづくり現場での実体験をもつこと」です。今回の入賞作品は、その制作プロセスにおいて苦悩・努力・気づきなどの具体的成長が作品に滲み出てくるものが最終的に評価されました。しかしながら本コンペの大きなテーマである「eco」に真正面から取り組んだ作品は少なく、各審査委員の期待に十分応えるまでには至っていません。更に「住空間」という観点でもしっかり応えていただきたい。今後の更なる進化と成長に期待します。


関西審査委員 竹原 義二 (大阪市立大学 生活科学部 居住環境学科 教授)

このコンペの醍醐味は、リアルサイズ模型を作る、ということです。実物大の作品が持つ緊張感を体得することは学生にとって有意義なことです。最初はひとつのアイデアだけで解釈する作品が多く見られますが、何段階にも及ぶ審査をくぐり抜けることにより、その都度作品の質が向上していきます。そして、いまの時代の流れを読み解く力がためされるのです。テーマに対して真剣に向かいあっていくと、ものという現実をどのように表現するかが問われてきます。アイデアをあたため、作品を図面と文字と模型でプレゼンテーションし、現実に近づいていく経験がコンペに参加する意義であると思われます。今後の更なる努力を期待しています。


関東審査委員 田渕 諭 (多摩美術大学 美術学部 環境デザイン学科 教授)

このコンペのユニークなところは、2.4m×2.4m×2.4mのリアルサイズの原寸大モデルでそのデザインを競うことです。そして、このコンペの魅力であり醍醐味は、作品がリアルサイズなことに加えて、原寸大モデルを作ってくださるプロの方との議論や、プレ審査から1次審査に至る過程で運営委員の先生や企業の方とのコメントセッションなど、実際にものを生み出していく過程と同じリアリルなやりとりが、半年に渡り体験できることです。今年は震災や防災・少子化と廃校対策・自然環境保全・大量家具廃棄問題・電話ボックス新利用提案など時代を反映した興味深い提案が見られました。今社会ではデザインの力がますます求められています。その一翼を担うコンペであり続けて欲しいと願っています。